60代から農業を始める時の注意点
60歳代から農業を始めたい、という方は多くいらっしゃいます。
定年退職後に、田舎に戻って農業を始めてみよう、というパターンです。
それまでの勤めが終わって、時間的にも余裕が出てくるし
まだまだ体力もあって、仕事をしていくのに農業は魅力的です。
ただ、家庭菜園との大きな違いは、趣味かビジネスか、です。
作った農作物を売って、売上から経費を引いて、それでプラスになるかどうか
その部分までが仕事になります。
失敗しないためには、何を考えておかないといけないか
次の項目を見てきましょう。
・何がハードルになるか
・年金や退職金
・実家が農家か非農家か
何がハードルになるか
60代から農業を始めるのに
何がハードルになるのでしょうか。
・体力が持つのか
農業をするのに、軽トラや運搬車、耕運機と
仕事がはかどる機械や道具があります。
でもやっぱり、重いものを載せたり、かがんで作業したり、炎天下で草刈りしたり。
これまで、空調の効いたオフィスでデスクワークのお仕事だったなら
屋外の仕事に慣れていく必要があります。
・地域に根付くのか
今住んでいるところとは別の場所で農業を始める場合です。
実家に戻って農業をする場合も。
今までと違う環境で、生活して農業をするとなれば
仕事でも生活でもその地域の人との付き合いが始まります。
「よそ者が来た」と、遠目で眺める人もいれば
細かい部分を口出しして文句を言ってくる人も。
農業だけでも精一杯のところに
地域の人との付き合いや行事の参加があります。
その地域がどのようなものか、リサーチや仮移住ができればいいですね。
・どんな農作物をつくるのか
「露地野菜で大好きなタマネギを大量に作ってみよう」
好きな作物を作りたいのは、同感です。
私もそんな傾向があって片隅で好きな野菜を作りましたが
手間が掛かった割に、価格が低くてショックでした。
よく売れている農産物、逆に人が作りたがらないもの、を
就農前から研究するのがいいかもしれませんね。
・販路はどうするのか
少量であれば、近くの直売所など数ヶ所でもさばくことができるかもしれません。
が、収入になるほど作るのであれば、どこで販売するのか
スーパーと契約するとか、レストランと直接取引するとか
大きい販路が必要になります。
年金や退職金
定年退職した後であれば、退職金が手に入って
資金的に余裕があるかもしれません。
退職後の「田舎でゆっくり暮らす」を夢見て、農業を考えるのでしょう。
資金が豊富であることは
間違いなく有利です。
ただ、初期投資をしすぎて
回収できない状況に陥ることも。
もっといい作物はないか、便利な農業機械はないか、と
次々に手を出してしまって、出費がかさんでしまって
ハードワークにもつながります。
ゆっくり暮らすどころか、
仕事を続けるための労働になってしまいます。
よく定年退職者が、退職金をもとに
初めての株式投資や不動産投資に使い込んでしまう、
という状況に似ています。
最初につぎ込む金額は
低めに抑えるように計画を立てるべきです。
実家が農家か非農家か
60代から農業を始める、という人で
成否が大きく分かれそうなのが
実家が、農家か非農家か、という違いです。
勤めに行っていた間にも、農家である実家の手伝いをしていると
感覚は掴みやすく、退職後でも生産活動に入りやすいですね。
実家が農家であれば、農地や農業機械も
すでにあるものを使えるので、資金面でも有利です。
ただ、もう親が引退していて、農地が荒れ放題、機械も動くか分からない、という状態だと
生産に入るまでに、どのくらい畑や機械の修繕費が掛かるのか。
農作物って、本当に単価が低いので
いかに経費を掛けずに大量に作るか、です。
非農家であれば、新規就農という形ですが
60代になってゼロから始めるのは
勉強することが多いだけではないのです。
地域の人や農業指導者には、頭を下げてお願いすることもあるでしょう。
退職前だったら、職場では年長者としてやっていたのに
退職後に農業始めたら、新入りのように見られて、プライドが許さないかもしれません。
農業やってみて、けっこう栽培技術や肉体労働より
農作物の収穫後の保存や梱包、販売の仕事や
地域や仕事に関係する人付き合いで
どれだけ上手く処理できるか、そっちが大変なんじゃないかな、と思います。
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